入間人間「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸」
入間人間「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸」(電撃文庫)読了。帯に 「第13回電撃小説大賞の最終選考会で物議を醸した問題作登場」 云々と書いてあって、お前そりゃどこのバトル・ロワイアルだよとツッコみつつ、表紙が左さんなので思わず買ってしまうところが何ともはや…。ええ、所謂「表紙買い」というやつでございます。「Remember11」の左さんですもの、infinityシリーズを間違った方向に愛するファンとして、無駄に買い漁る今日この頃でございます。なんて見境の無いおたくなんだろう私。正に電撃文庫の思うツボです。…がくり。
内容は、お互いに8年前の誘拐事件の被害者である、嘘つきみーくんとヤンデレまーちゃんの爛れた同棲生活、ですかね。適当に説明したつもりが結構当を得ていて変な気分だなぁ…。
で、感想なんですが、先ず読み終わって思った事はなにこの田中ロミオ+西尾維新、でした。噂によると乙一も入っているらしいですが、私は読んだことは無いので付け足さないでおきます。特にCROSS†CHANNEL(18禁)色は強いような気がします。CROSS~はそれを青春群像に振り分けて、本作はもっとミステリに振った、という感じですかね。青い人がいっぱいいそうでした。
特に主人公は「CROSS†CHANNEL」の太一を彷彿とさせるというか。あの、人間ナメくさった態度が余りにもロミオ的というか(→暴言です)。そう言い切ってしまうと語弊があるかも知れませんが、兎角主人公の性格は正直余り好きになれず、90ページ位までいつ窓から本を投げ捨ててやろうかとムキムキしながら読んでいました。読んでいるうちに嫌悪感から同情に変わり、最終的に思ったほど悪い奴じゃないなぁと思えるようになるんですが、でもこうやって何でもわかってるふりをする人は好きじゃないなぁ。自己欺瞞はいいけど、自分を騙しきれてない、結局「僕って可哀想」になっちゃってるところがどうにも中途半端で好きじゃないんだよなぁ。なんちゅうかこう、自分の傷を自慢したいんだかなんだかで、ぐちゃぐちゃな傷口を人に見せて、痛そうだから薬塗ってあげようかと言うと拒否する人達。お前等単にかわいそうだねーって言って欲しいだけだろと言うと、アンタには何もわかんないよって言う人達。こんなに酷い傷を我慢してる自分偉いなんて思ってるお前なんかわかりたくもねーよ。どうせならその傷口に塩でも擦り込んで笑ってみせてよそしたらちったぁ同情してやるからさ…と言ってやりたいけど、そいつの境遇は本当に可哀想だから、そんな事言ったら自分が悪人になってしまう訳ですよ。結局どっちに転がっても、最初に話を振られた方が負けなんだもの。…まぁ、作者様も好かれる登場人物にしようとは思ってないだろうから、構わないでしょうけども。
でも、こうやって中途半端なところこそが、逆に人間臭く感じられてくる事も確かといえば確か。主人公は「その感情」を自覚しないようにしないように鈍化して生きているけど、結局人の動機ってのは「その感情」に過ぎない訳で、本人もそれはわかってるけどそれを安易に認めずに否定して、その矛盾を諦めずに迷走しているところは少し共感出来たかな…。「その感情」を簡単に肯定してしまう人はさすがに薄っぺら過ぎるけど、肯定出来ない事もまた、人間的にカタワ(→差別用語です)になってしまう訳で。そういうところで適当に妥協出来ない若さというのは、バカだなぁとは思うけど、否定はしたくないというか。そゆ所は興味深かったですね。
「~みたい」「~的」というどこぞの影響がハッキリ見て取れる作品だったので、正直買って失敗したと40%位は思ってるんですが、ものがたり自体は良く練られていて、ミスリードを誘う罠を幾つも仕掛けて、混乱させた挙句に結構単純な答えを用意しているところはすっかり騙されました。悔しいなぁ。流石大賞応募作品、なかなかに面白かったと思います。ただ、この登場人物達の、とりわけみーくんの語りは余り子供には見せたくないPTA的な感想を持ちました。確かにこれを大賞にはできないよなぁ、等と。「バトル・ロワイアル」は、シチュエーションは異常だけど登場人物は真っ当だったから、何故これが審査員から批判されたのかわからんと思ったけど、本作は登場人物が異常なので、受賞しなくて正解だと思いますよ。
そんな訳で、人様にはあまりお薦め出来る作品ではないと思います。アタマおかしい小説が好きな人は面白く感じるかも知れません。若さゆえの過ちを認めたくない人は読まないほうがよろしいかと。田中ロミオと西尾維新好きな人は…どうだろう、読んでみるのも一興、かな。
…ところで、まーちゃんは何で、あの子達を誘拐したんですか。(って訊くのが正しいオチ…ですよね?)
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